感応精神病とは?母と同じ症状が出ていた父の話
精神障害のある家族がいる場合、感応精神病といって、患者本人と同じような症状が家族にも出ることがあります。
たとえば、統合失調症患者の妄想を家族が本気で信じてしまったり、うつ病患者の気分の落ち込みに影響されて家族が落ち込んだりするのも感応精神病です。
私の母は統合失調症で、父は健常者なのですが、ときどき父も母の妄想を真に受けておかしくなっていました。
たとえば、母の被害妄想を、妄想だと思わずに事実だと思ってしまうのです。
普段は「ええ?ちゃんと確かめたのか?」などと言って流しているようでしたが、あまりにも母がしつこく言い続けると信じることがありました。
母も母で、いかにも統合失調症というような妄想ではなく、妄想と思い込みのギリギリの線を責めてくるのです。
たとえば「物を捨てられた」というときは、物を探しても見つからないときに言っていたものでした。
母は掃除や整理整頓が苦手で、出したら出しっぱなしなので、おそらく自分でどこかへ置きっぱなしにしたのでしょう。
ただ、実際に物がなくなっているのは事実なので、「捨てられた」という言葉に一応信ぴょう性はあるじゃないですか?
これが「電波で攻撃されている!」など、わかりやすい妄想であれば、信ぴょう性がないので父が信じることはなかったと思います。
父は、母の妄想を信じるだけではなく、自分の妄想を事実だと思うこともありました。
たとえば、私は中学生の頃遅刻が多かったのですが、父は私に「遅刻を点数化されたら公立高校に行けなくなる」と言ってきました。
遅刻の点数化なんて聞いたこともないし、実際にそういう事実はありません。
しかし、父は遅刻の点数化を事実だと信じているようでした。
はじめは私を脅すためにそう言っただけかもしれませんが、なぜか父はそれを事実だと思い込んでいるのです。
私が担任に確認して、そういう事実はないと父に伝えるまで、父は納得していませんでした。
このように、父はたまに妄想と事実の区別がつかなくなることがありました。
それでも、父は自分がおかしいとは全然気付いていないんですよね。
不思議でたまりませんが、母の妄想気質がうつった(?)のかもしれません。
私自身も母と話していて、こっちがおかしいのかな?と思うことがたまにありました。
あまりにも堂々と、おかしいことを事実のように言ってくるので、本当なのかな?と思ってしまうことがあるんです。
まさか、思い込みを事実のような口ぶりで言っているなんて、普通は思わないじゃないですか?
また、母はおかしいといっても普通に生活できるレベルであり、常に妄想や思い込みを口にしているわけではありません。
一応話は通じるので、よけい判断しにくいんですよね。
ただ、やはり常識は通じませんし、話はあまりかみ合いませんし、自分の問題をこちらの問題にすり替えてくるので、関わっていると少しずつこちらの精神がおかしくなってきます。
「あ、おかしいな」と自分ですぐに気付いて精神的に距離を置けばいいのですが、当時は母が精神疾患だと知らなかったので、ダメージを直に受けてしまうことが多かったです。
本当に、何度発狂しそうになったかわからないですね。
関わるだけで家族にダメージを与えるなんて、ある意味すごいなと思います。
感応精神病は、本当に甘く見ないほうがいいです。
少しでも自分の頭がおかしくなりそうな感覚を覚えたら、すぐに距離を置いたほうがいい。
感応精神病の対策としては、話す必要があるときでも、心の距離を置いて接するということだけだと思いますね。
そして、患者がおかしいことを言い始めたら、聞いているふりはしても真剣には聞かない。
真剣に聞いてしまうと同調してしまい、同調したらもう終わりです。