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6割の統合失調症患者が家庭内暴力を起こすという事実

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統合失調症患者の家庭内暴力について、東京大学の蔭山正子氏らの研究グループが行った調査があります。

調査では、統合失調症患者の家族350世帯から回答を得て、結果を分析しました。

調査によると、統合失調症患者がいずれかの家族に対して暴力行為を行った割合は過去1年間で27.2%、生涯で60.9%にも上りました。

過去1年間で1/4強、生涯では6割もの患者が家族に暴力を振るっているとは、想像以上に多いですね。

また、暴力を受けた対象となる家族は以下となります。

また、生涯で暴力を受けた対象を血縁関係ごとにみたところ、母親が51.0%と最も高く、続いて父親(47.0%)、妹(30.7%)、配偶者(23.8%)、弟(19.5%)、姉(18.2%)、兄(17.1%)の順であり、子供に対しては認められなかった。

Asia-Pacific journal of public health誌オンライン版2015年に掲載)

暴力を受けた対象となる家族に関しては、子供が0とはちょっと信じられませんね。

まず、おかしくなった患者が子供に対して暴力をふるわないということは、まずありえません

子供だから暴力を振るってはいけないとか、そういった正常な思考は頭から吹っ飛んでいます。

むしろ経験上、家族の中で一番弱い子供からやられますね。

子供がいる統合失調症患者が少ないのは事実だと思いますが、アンケート調査に正直に答えると子供が児童養護施設に保護されるため、各家庭が正直に回答しなかった可能性もあるのでは?と思います。

私がそれよりも気になる点は、ここまで家庭内暴力が多いのに、ほとんどニュースになっていないという点なんですよね。

2011年に厚生労働省が行った患者調査では、約70万人の統合失調症患者がいると報告されました(発症しても病院へ行っていない人もいるため、実際の人数はもっと多い)。

実際には1人暮らしをしている統合失調症患者もいるので、仮に家族と一緒に暮らしている患者は60万人いるとしましょう。

蔭山正子氏らの研究では、1年間に患者の27.2%が家庭内暴力を起こすというデータが出ているので、このデータをそのまま当てはめると、

60万×0.272=16万3,200(人)となります。

1年間でおよそ16万3,200人もの患者が家庭内暴力を起こしていて、それが1つもニュースになっていないなんておかしくないですか? 

家族が通報しない?

原因は家族が通報しないことしか思いつきませんが、実際はどうなんでしょうね?

通報しても、患者には責任能力がないという理由で逮捕されなさそうですし。

ちなみに、私も母の暴力を通報したことはありません。

今思えば通報するべきだったと思いますが、当時は子供だったので、通報するという考えすら思いつきませんでした。

家族の負担が大きすぎる

蔭山正子氏らの研究から言えることは、患者の家族の負担が大きすぎるという点ですね。

強制入院措置を取っても、最近はあまり長期入院させてくれないので、数週間から数ヶ月ですぐに退院させられるケースが少なくありません。

患者本人も、大人しくしないと退院できないとわかっていますから、病院では大人しくするんですよね。

それで結局、入院措置を取ってもすぐに退院してしまい、家族が家庭内暴力の犠牲となるのです。

最近は、患者本人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めることが大切という流れになってきていますが、それって家族の犠牲の上に成り立ってますからね。

患者本人の問題だけであればいいのですが、患者のQOLを高めるために家族が犠牲になるのは本末転倒だと思うのです。

QOLが優先されるのは、家庭内暴力を起こさない4割の患者に対してだけであるべきです。

入院が必要な暴力的な患者にまでQOLを適用させるのは、家族への犯罪行為(暴行)を容認していることに他なりません。

現在も、精神病棟への長期入院を減らすという目標を厚生労働省が掲げていますが、現実は長期入院が必要な患者でも家族が面倒を見ています。

国と行政のダブルスタンダード

国や行政は、経費削減のために病床数や長期入院を削減していますが、そんなに精神病患者に税金を使いたくないのであれば、根本的に精神病患者を減らすような対策を取る必要があります。

たとえば、統合失調症には遺伝リスクがあるので、患者の子供は統合失調症になるリスクが普通の人よりも高くなります。

患者の子供が将来発症すると、患者の数は増えるわけです。

これを阻止するために、統合失調症患者には子供への遺伝リスクや虐待リスクをきちんと伝えることを義務付けるなど、国主導でできることはあると思います。

人権的な問題があるので、妊娠・出産を禁止することはできませんが、せめてリスクをありのままに伝えれば、妊娠・出産する人は減るのではないでしょうか。

現状は、あまりリスクを伝えられていないんですよね。

いろいろな精神科のHPを見ても、あまり統合失調症患者の出産リスクを伝えていません。

私の母も、昔主治医に妊娠・出産が可能か聞いたところ、簡単にOKを出されたそうです。

子供の立場なので、よけいにこれはおかしいと思いますね。

子供の命や幸せをあまりにも軽く見ているとしか思えません。

統合失調症患者が妄想で自分の子供を殺した例も実際にありますし、精神疾患の親は虐待リスクが高くなるというデータもありますから、そこをきちんと伝えないと。

重要なことを何も伝えないで大丈夫ですよと言うだけでは、当然出産する人が増えますし、遺伝による将来の患者も必然的に増えます。

将来の患者が増えたときに、国や行政が税金で対応してくれるのであれば問題ありませんが、完全に逆をやっていますよね?

精神病患者にかける税金を、削減しよう削減しようとしています。

これでは永久に家族に苦しむだけなんです。

家族の犠牲が多すぎることは研究データとしてきちんと出ているのですから、国や行政は経費を削減しようとするだけでなく、家族が犠牲になっているという問題を直視してほしいものです。